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旅行 7月23日(土)朝、八ヶ岳高原自然郷を出る前に、「せせらぎの小径」を歩きに行きました。時間があまりなかったので、川が見える所まで歩いて、川辺にまで下りることはあきらめて戻りました。
辺りには色々な鳥の声が聞こえます。ピーッピーッとかチッチッチッとかピルルルルとか。でもなかなか姿は見えません。立ち止まってじっとしていると鳴き続けていますが、少しでも足音が聞えると忽ち飛び立ってしまいます。待望のオオルリにはとうとう出会えませんでした。一度だけ大きな樹の梢から一羽の鳥が飛び立って行くのが見えたのですが、逆光のせいもあってただ黒い色にしか見えませんでした。
最後にもう一度、海の口牧場のヤマナシの樹と、そこから遠望する秩父連峰を眺めてから、清里へ向かいました。予定の時間より早かったので「清里現代美術館」にも立ち寄りました。ここは全くの私設美術館で、コレクションも現代美術の作品そのものだけでなく、展覧会のパンフレットから案内状に至るまで、20年間も蒐集し続けておられる努力には本当に敬服します。ヨーゼフ・ボイス、ジョン・ケージ、ラウシェンバーグなどの海外の作品や、国内の恩地孝四郎から若林奮まで多岐に亙っています。
お昼を過ぎてから田口さんの追想サロンが開かれる「ぜぴゅろす」へ向かいます。大昔に来た時には「清里の森」は存在しませんでした。本当にここでいいのかしらと、少し不安になりながらゆっくり車を走らせて、「ぜぴゅろす」の看板を探します。地図ではすぐ横に駐車場があるようでしたが、どう行くのかわからず、道路沿のパーキングに停めて階段を上って行きました。
ギャラリーに着くともう既に大勢の人が集まっていらっしゃいました。ほとんどが初対面の方々です。まずオーナーの桜井さん御夫妻と田口重彦さんに御挨拶。田口はるみさんとは久しぶりの再会を喜び合いました。会が始まる前に重彦さんの描かれたお作品を拝見。透明感のあるとても美しい絵です。
そして桜井さんが「同時代」の影山恒男さんを紹介して下さいました。影山さんとは「嶺」でも御一緒でお手紙を頂いたりはしていましたが、お会いするのは今回が初めてでした。四季派学会の理事でもいらっしゃいます。雨宮テイコさんと岡島弘子さんも来て下さいました。
追想サロン第1部が始まって影山さんは田口さんのこと、堀辰雄とリルケについてお話しされました。そのあと私は「現代文学」に掲載された田口さんの最後のお作品「ユダの像」に書かれているユダの絵を、実際にアシジで見た時のことなどを話しました。その後弟さんの田口重彦さんが幼い頃の思い出などを話され、さらに童話をお書きになっている依田逸夫さんのお話が続きました。最後に岡島弘子さんがカロッサの詩集について話されました。
第2部は場所を変えて田口はるみさんのピアノ演奏。ショパンの「ノクターン」「幻想即興曲」、リストの「コンソレーション」「愛の夢」、アンコールのショパンの「ワルツ」。きっと彼岸の田口さんにも届いていると確信できる感動的な演奏でした。
爽やかな高原の風と木漏れ日と、天にまで昇ってゆく楽の音に包まれた幸せな一日でした。
- 2009.05.09 Saturday
- 23:15
- 2009.05.06 Wednesday
- 11:48
金峯山寺は修験道の根本道場であり、本堂の蔵王堂は国宝に指定されている。開祖役(えん)の行者が金峯山上で一千日の修行をしている時、末世にふさわしい守護仏を求めて祈願したところ、初めに釈迦如来が、次に千手観音が、最後に弥勒菩薩が現れたという。しかし、いずれも今の世の衆生済度には適さないと退けると、磐石の中から金剛蔵王権現が現れたという。
釈迦は過去を、千手観音は現在を、弥勒は未来を体現しているが、蔵王権現がこの三世を同時に体現し、あるいはこの三世を超越していると言われている。現在は、この伝承そのままにそれぞれの本地仏の化身とされる三躰の蔵王権現が祀られているが、秘仏であるため見ることが出来ない。
私が訪れた時も、薄暗い堂内の金襴の垂れ幕の奥に姿を隠されたままだった。その前では若い僧が一人、一心に祈祷を捧げていた。時折その垂れ幕が揺らぐのだが、なぜか自然の風のせいではなく、目に見えない何者かがその風を起こしているように思えた。
吉野山が世界遺産に登録されたことを記念して、平成19年の秋に特別開帳されたとのことで、その時訪れることが出来なかったことが残念である。4年に1度、一般の人が参加できる「千人潅頂」が行われる予定で、その儀式の時には三躰の秘仏に対座することが出来るという。
蔵王堂周辺をしばらく歩き、食事を済ませた後、吉野水分(みくまり)神社に向かう。
もともとは水分の神からはじまり、「みくまり」から「みこもり」、さらに「みごもり」「こもり」という変遷を経て、現在では子授け、子守の神として信心されているのだという。
江戸時代の国学者、本居宣長はその父がこの神社を参拝して授かった子であるということを固く信じていて、その著『菅笠日記』にもここを訪れた旅の様子を記している。
もう一度蔵王堂の近くの大日寺の辺りまで戻り、吉野山を後にして黒滝村への林道を走る。ずっとカーブが続く山の中の道である。どこまでも緑が続き、ところどころで花にも出会える、すがすがしい道である。(続く)
- 2009.04.30 Thursday
- 00:33
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☆〔五大ごだい〕地・水・火・風・空の五つをいう。一切の物質に偏在して、それを構成するもととみて大という。
☆〔六大ろくだい〕仏教用語で、万物を構成する六つの要素。地・水・火・風・空・識。六界。密教では法身大日如来の象徴とする。
☆〔識しき〕仏教用語で、対象を識別する心のはたらき。感覚器官を媒介として対象を認識する。六識・八識などに分ける。
☆〔法身ほっしん〕仏教用語で、永遠なる宇宙の理法そのものとしてとらえられた仏のあり方。
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