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    ことづて

    • 2013.10.05 Saturday
    • 17:59
    JUGEMテーマ:
     今年も兵庫県立芸術文化センター 神戸女学院 小ホールで、ひょうご日本歌曲の会の「新しい日本の歌6」のコンサートが開かれます。今年は中西覚先生が、私の詩「ことづて」に作曲して下さいました。



    ことづて
                       紫野京子




    目を閉じると
    潮騒の音がきこえる

    鸚鵡貝の螺旋と
    ラグーンの青

    深海に潜ると
    すべての音は途絶える

    色だけが鮮やかに
    時さえも消える

      あなたは
      海の味がする



     

    透明な集積が
    深い青になる

    からだの芯 こころの隅々まで
    染めてゆく 黄昏の色

    大気に触れる
    オーロラの波打つ裾

    空の 秘密と
    沈黙の言葉




    赤い実をつけた
    大きな樹がゆれる

    幾千もの葉がざわめき
    風花が舞う

    空の
    無数のことづて

    根元から 梢の先まで
    ながれる水の囁き

      あなたは
      樹の匂いがする



     

    マルタ

    • 2013.08.27 Tuesday
    • 01:19
    JUGEMテーマ:
    詞華集『聖書の女性たち』
    新約聖書の女性たちから


    マルタ
                              紫野京子


    ある夏の夕べ R校の臨界学舎に招かれて
    子供たちと滞在したことがあった
    夕食前にミサがあって
    その時間になってもまだ夕食は出来上がらず
    迷いながらも 心で共に祈ることにして
    そのまま夕食を作り続けた

    A神父さまはおっしゃった
    「あなたはマルタだ。」
    「大事なものを見失ってはいけない。」

    私はいつもマリアの生き方に憧れて
    それでもなお マルタのように生き続けた
    心にマリアを抱きながら­­ー
    そうしながら いつも
    苦さと哀しみを味わい続けた

    この世には 思っても果たせないことがある
    願っても叶わない夢がある

    昔 カルメルの囲いのなかの生活に憧れたことがある
    そして受洗もしていないのに とあきらめた
    しばらく経って思ったものだ もしそんな生き方を選んでいたら
    今頃はきっと鼻持ちならない人間になっていただろうと……

    蓮の花が好きなのは
    多分 泥のなかから咲き出るからかもしれない

    飢えた人に「あなたのために祈っています」と言うよりも
    黙って一杯のご飯を差し出す方が 性に合っていた

    年を経ても 心のなかのマリアは消えずに生き続けている
    いつも 苦さと哀しみを纏い続けてー
    けれどいつのまにか 私のなかで
    マリアとマルタは 同一人物になってしまった

    時折 空の彼方から呼ぶ声が聞こえる
    「マルタよ マルタ」
    今ではその呼び声は こよなく優しい声だ    

     

    ヨブの娘たち

    • 2013.08.25 Sunday
    • 23:59
    JUGEMテーマ:
     
     日本キリスト教詩人会創立20周年記念出版の詞華集『聖書の女性たち』に、旧約聖書と新約聖書からそれぞれ一篇づつ、参加させて頂きました。これは旧約聖書から……。



    ヨブの娘たち
                            紫野京子


    大地震の後 幾度ヨブのことを思ったことだろう
    街を歩く度に 眼前に広がるのは信じ難い光景だった

    硝煙の匂いがするかとも思えるほどの
    黒焦げになり 焼け崩れた建物

    人も 物も 跡形もなく
    空しく広がる 矩形の土地

    歩きながらいつも 何故という問いが
    頭の中を廻っていた

      私は暁の席をさし示すことはできない
      私は昴宿のくさりを結ぶことはできない
      私はオリオンの綱を解くことはできない

       ★

    大津波の後 再び地には幾人ものヨブが充ち満ちた
    船は陸に打ち上げられ 田畑は塩漬けにされた

    手つかずの荒野が どこまでも広がり
    幾人ものひとが 海の彼方であてどなく彷徨(さまよ)ったままだった

      私は海に戸を閉ざすことはできない
      私は雷鳴に道をあけることはできない
      私はちぎれ雲に知識を与えることはできない

    今こそ 喪失と悲嘆に充ちた地に立って
    ヨブのように主に向かって言うだろう
    「あなたにはすべてができると私は知っている」

    たくさんの羊と 牛や驢馬を
    たくさんの実りと 清冽な泉を
    絶えることなくあなたが恵まれることを信じるだろう

    そして祈るだろう ヨブの娘たちのように美しく
    豊かに育つ多くの子らが 再び地に充ちるようにと


     

    山口牧生さんに

    • 2013.08.05 Monday
    • 22:21
    JUGEMテーマ:

    一如
           ―山口牧生さんに



    ひとつの石の内部に
    閉じ込められた闇

    石の底に湛えられた水は
    闇とひとつになり
    星空を映している

     
      石の中には光がある
      八千億年前の闇に
      閉じ込められた光がー

    星を造った光の手は
    平らな石の上では
    姿を見せない

    それはもっと大きく
    石そのものを抱いているのに
    誰もそれに気づかないのだ

    石に刻まれた幾筋もの線だけが
    光と切り結んでいる
    石の面に翳りとなって

    闇が石の上にも漂っている
    光の中で見えないままに
    光も光として感じられないままに

    見えないものが多すぎる
    こんなにも明るいことが
    こんなにも杳いことが

    石の上では 今 この一瞬も
    億万年もの昔も 変わらないのだ
    石を彫るひとの 心の中でも
     

    散華

    • 2013.08.04 Sunday
    • 03:19
    JUGEMテーマ:
    散華(さんげ)
     



    暗闇の淵に佇ち
    小さな木の舟を出す
    野に咲くすべての花を満載して
    舟の櫂から星屑をこぼしながら

    白い鳥が一羽
    闇のなかに吸い込まれてゆく

    いちりんずつ
    野の花を水に落とす

    うすゆきそう れんげしょうま
    みやまむらさき われもこう

    花は 渦を描いて
    暗い淵に呑み込まれてゆく

    私には見える
    すべての花が
    螺旋を描いて
    空へ上ってゆくのを

    それこそが
    祈りのかたちなのだと

    あなたはあなた以外の何者でもない

    • 2013.03.28 Thursday
    • 02:23
    JUGEMテーマ:
    「嶺」第38号に発表した詩です。

    あなたはあなた以外の何者でもない
                              紫野 京子


    頑固に自分を守り通さなくてもいい

    守らなければいけないことは きっと他にある

     

    それはもしかすると本当に小さくて

    目にもつかないほど 細かいものだったりする

     

    あるいはよほど気をつけていないと聞き洩らすほどの

    かすかな 響きだったりする

     

    疲れて もう一歩も動けない時に

    不意にオカリナのように聞こえてくるものかもしれない

     

    あるいは空の果てに ほとんど消え入りそうに架かっている

    薄い 透きとおった虹かもしれない

     

    たとえ どんなものでも それを見分ける秘密がある

    日溜まりのなかに佇んでいるように

    ほんのりと 心があたたまっているかどうか

     

    不意に眼の前に広がる夕映えのように

    二度と見られぬ光景の鮮やかさに

    思わず涙が滲むかどうか

     

    大事なものはそれだけでいい

    時を忘れて ただ今在ることを味わうだけでいい

     

    色も かたちも 変えたっていい

    それで居心地がいいのなら

     

    選り取り見取り 何だってかまわない

    あなたがあなたであることに違いはない


     

    幻花

    • 2013.01.08 Tuesday
    • 02:58
    幻花 
                       紫野京子


    花弁が肩に触れたのに
    気づきもしなかった
    風が呼び止めていたのに
    振り返ることすらしなかった

    ひとつの運命が方向を定める時など
    誰にもわからない
    地中深く埋めたおもいなど
    疾うの昔に朽ち果てているはず

    けれど歳月の波を潜って
    過ぎ越した日々が顕ち現れる時がある
    そんな時も 葬り去った夢が甦ったことも知らず
    ただ 眠れぬ夜を感じるだけだ

    「もし」という言葉に立ち止まってはならない
    過去からの手に縋ってはならない

    幻花に包まれているのは
    創生の頃から続いて来た遥かな道程
    辺境の果てにまで及ぶ
    人と人とのつながり

    風がそよぎ
    硬い円球は綻びつづけ
    日々開いてゆくに連れて
    崩れるほどに大きく豊かに拡大する

                   詩集『風の芍薬(ピオニア)』より



    夢の船出

    • 2012.11.27 Tuesday
    • 00:53
    「新しい歌5」3つ目の歌です。後の2篇が追悼の詩なので、1篇はもう少し明るい詩を選びました。少し前の作品なのですが…。

    夢の船出

              作詩:紫野京子/作曲:三善有希乃/歌手:船木サチコ

     

    今日ほしいのは夢だったから

    大きな大きな

    アド・バルーンをあげたのです

    赤と白の縞になって

    夢は遠く海の方にまで

    揺らいでいます

     

    小人の国のお船のように

    黒い小さな影絵の船が

    ガリヴァーの希望を積んで

    船出しました

     

    おだやかな航海ののち

    再びこの港に錨をおろす時は

    虹をくぐって

    思い出になって戻ってくるでしょう 

    落ち椿

    • 2012.11.26 Monday
    • 00:09
    「新しい歌5」のコンサート、2つ目の歌です。

    落ち椿       作詩:紫野京子/作曲:大久夏織/歌手:千賀恵子  

     

    花のトンネルを抜けて

    小さな溜池の畔(ほとり)に立つ

    一本の紅椿の木の下で

    落ちた花を繋いでゆく

     

    幼い頃 前栽(せんざい)の茂みに隠れて ()

    かくれんぼの鬼を待っていた

    いつまでも来ない鬼を待ちながら

    散り果てた紅い椿を見つめて

     

    来なかったのは鬼だけではない

    時もまた 止まったままだった

    けれど今 時は矢より速く

    忘却の海に 雪崩れ込んでゆく

     

    それでもあの頃 いつも傍にいた

    小さな弟の姿が

    瞼の裏に焼きついて

    紅い椿の花飾り 繋げて編んだ 

    ヘブンリーブルー

    • 2012.11.25 Sunday
    • 02:39
    11月29日の「新しい歌5」のコンサートに歌って頂く詩3篇を1日に1篇ずつUPします。


    ヘブンリーブルー         作詩:紫野京子/作曲:大久夏織/歌手:千賀恵子


    沙羅の木の幹に 蔓が巻きつき

    満開になった ヘブンリーブルー

    天の庭にも沙羅が咲き 空を映した花まで

    枝に絡まって咲いているに違いない

    昼には萎(しお)れてしまう青い花と()

    夕べには地に落ちる白い花

     

    この地上でひとに出会い 夢を見て生きてゆく

    そのいのちは いつも 別れと隣り合わせ

    忘れ果てることなど決してないと思いながら

    いつか記憶も ひとひらずつ

    散ってゆくのだろうか

     

    死ぬことも 生きることも とても切なくて―

    それでも信じている 思い続ける限り

    亡き人は今も 心のなかで生きていると 

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    辞書

    ☆〔五大ごだい〕地・水・火・風・空の五つをいう。一切の物質に偏在して、それを構成するもととみて大という。 ☆〔六大ろくだい〕仏教用語で、万物を構成する六つの要素。地・水・火・風・空・識。六界。密教では法身大日如来の象徴とする。 ☆〔識しき〕仏教用語で、対象を識別する心のはたらき。感覚器官を媒介として対象を認識する。六識・八識などに分ける。 ☆〔法身ほっしん〕仏教用語で、永遠なる宇宙の理法そのものとしてとらえられた仏のあり方。

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