4月12日の朝、友人を迎えに行った新神戸駅から、ひたすら車で走り続ける。雨は一向に降り止まない。淡路島を縦断する間中、激しい雨は降り続け、明石海峡大橋も鳴門大橋も橋梁の一番上の部分だけがほんの少し見えるだけで、後は全く見えず霧の中である。
これまで何度も遠くまでドライブをしたが、これほどの雨の中を、しかもすぐ先も見えないほどの霧の中を走ったことはなかった。
鳴門ICを下りてしばらく走った頃から少しずつ雨は小ぶりになってきて、ようやくこれなら今日の目的地の一つである太龍寺を歩けるな、とほっとする。徳島の市街地を抜け、かなり走って阿南市に入る。これまでひたすら南へ向かって走っていたのだが、そこから西へ走り、鷲敷町に入ると太龍寺山が見えてくる。
これまで四国八十八ヶ所の中でも難所とされていたが、平成4年秋、ロープーウェイが開通し、山門の前まですぐに登れるようになった。
まだ雨は降り続いていて、ロープーウエイの中からもやはりほとんど景色は見えなかった。あたりは霧で包まれている。山の中腹でガイドさんが虚空蔵求聞持法を修行されている弘法大師の御像と、黒いオオカミの像を説明してくれる。
大師像は御入山1200年とロープーウエイ開通を記念して建立されたという。オオカミの方はかつてこのあたりに棲息していたことを証明するために作られているという。
山頂駅に着くと山桜と八重桜が満開で、あちらこちらにミヤマツツジも咲き乱れていた。山門を上がり、弘法大師の御作と伝えられる虚空蔵菩薩を本尊とする本堂、大師が修業されたと言われる求聞持堂、高野山奥の院を模倣し、拝殿、奥殿式で配立されている大師堂、そして中興堂を経て、鐘楼門まで来て、友人と共にそれぞれ鐘を撞いてみる。思った以上に澄んだ音色である。
鐘楼門の向こうには本坊があり、その正面の大廊下の天井には四条派の画家竹村松嶺によって龍が描かれている。さらにその隣には護摩堂がある。本尊は興教大師の御作の不動明王である。
弘法大師御入山以降、護摩の火を守り続け、毎日護摩供を修法し、「太龍寺の日護摩」として古来より信仰を集めているという。
本坊の庭には枝垂れ桜が満開だった。想像していたよりももっと深い山の道場に、海のように雨は降り続け、花を囲み、花を浮かべて、なおも降り続けていた。
- 2016.05.18 Wednesday
- 00:47
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☆〔五大ごだい〕地・水・火・風・空の五つをいう。一切の物質に偏在して、それを構成するもととみて大という。
☆〔六大ろくだい〕仏教用語で、万物を構成する六つの要素。地・水・火・風・空・識。六界。密教では法身大日如来の象徴とする。
☆〔識しき〕仏教用語で、対象を識別する心のはたらき。感覚器官を媒介として対象を認識する。六識・八識などに分ける。
☆〔法身ほっしん〕仏教用語で、永遠なる宇宙の理法そのものとしてとらえられた仏のあり方。
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