大阪に出かける用事があって、帰り道に大丸梅田店で開催されている「モディリアーニと妻ジャンヌの物語展」MODIGLIANI ET HEBUTERNE,LE COUPLE TRAGIQUEを見た。展覧会の題名通り、半分以上がジャンヌその人の作品である。そのせいというわけではないが、私のこれまでのモディリアニの作品に対するイメージよりもはるかに明るく、どちらかというとモディリアニの作品展というよりも二人の愛のメルヘン的要素が高いような気がする。ジャンヌがモディリアニの死後に描いた水彩の連作(二人が出会った頃、南仏ニースでの幸せな日々、モディリアニの死、そして自分自身の自死と続く)が一番印象に残った。(〜9月24日まで)
以前に開催された同じ大丸の神戸店でのサン=テグジュペリの星の王子さま展」や、東京の国立新美術館での「モネ大回顧展」などを見た時も思ったのだが、最近の美術展はこれまでのようなただ作品を陳列するというものとは違い、企画者の意図がかなり強く入ったものになっている。その意欲は必要であるとは思うが、本来もっとも必要であるはずの作品から観覧者へのインパクトが削がれてしまうのではないかという危惧を抱いている。本来、作品を鑑賞するということは、観る者がその作品と静かに深く対峙することなのだと思うのだが、昨今のようにあまりにも企画者の観方を前面に出してしまうと、その流れに沿ってしか作品を見ることができず、見終わった時に感動を覚えることもなくその場から離れる以外にない。それではあまりにも惜しいような気がする。