友人から招待券を戴いて、高槻市民総合交流センターのイベントホールで行われた「かげえ・昔ばなしフェスティバル」を観に行った。かげえ劇アクト座・高槻昔ばなし語りべ集団の主催である。
前半はかげえ劇アクト座の影絵が4つ。1つ目は「ナンセンスものがたり『くるぞ くるぞ』、最初は2本の足が歩いて来て、それから「山ほどのでっかい森」の中の「すっご〜いかずの いろんな動物」たちが現われ、季節の移り変わりの中で生きている。「大雪」につつまれた静けさの後、「ドスン ドスン ドスン」大きな音がして、森のみんなは「何かがくるぞ」と怖がって逃げ惑う。やがて森が縄跳びをしているところで終わるというものだ。たくさんの鳥や獣たちのさまざまな形。森のかたち。そして背景の虹色の美しさ。古賀美佐子さんのナレーションの楽しさ。
二つ目は『ぼくたちの夏やすみ絵日記』、今度は芥川小学校4年生の中野拓実くんの朗読で、「3べんも でっかい動物にであう」ペンギンさんたちの絵日記。最初はゴリラ。それからゾウ。そして最後はキリン。
三つ目は「たかつきの民話『おっぱん(お仏飯)』せりふは安西均鵠(まさこ)さんと南数美さん。小学生と河童が川で出会う。「おっぱん」を食べた子には河童も勝つことが出来ない。
そして最後は「なぞなぞが はいってる かげえ『ぶきゃ ぶきゃ ぶー』、「ぶたおじさんのバスは がたがたバス」。赤い「ダルマ」が乗り込んで、降りる時は「雪だるま」に、「カッパ巻き」は「河童」に、そして日曜日に学校に行くタヌキたちは???
影絵が終わって、準備をしている間、脚色・演出の宇津木秀甫さんが、昔から伝わる「数とり歌」や「じゃんけん」を紹介して下さる。そして次は「高槻昔ばなし」の始まりである。影絵を作る人たちは昔話の語りべでもあるのだ。みんな楽しんでいらっしゃる様子が伝わってくる。夏休みで集まっている小さな子供たちもみんな楽しそうだ。
プログラムの最後に宇津木秀甫さんが次のように書いておられる。
「私たちが地元の昔ばなしを堀りおこし、語り、そして劇にするのはある仮説、実際にはすでに真理であることを念をいれて明らかにするために仮説にもどして、それを実証するために実験をしているのです。仮説は・・・・・
1.人はいろいろの「ものがたり」を持つことによって年輪ができる。
2.「ものがたり」の中でもエネルギーが大きいのは、「劇的なものがたり」である。
3.「劇的なものがたり」を演じる劇場を持つことによって、市民文化が形成されていくのである。 というものです。
人生は「物がたり」と「物理」との二面から深めなければならない、と言っているのは作家の五木寛之さんです。そうなのです。〈中略〉ギリシャ劇は幾多の物がたりを母体にして、劇的に構成したものでした。日本では、江戸時代の浪華文化が良い例です。〈中略〉豊かな生活の中で生まれた生活感情というものを土台にして、あの文楽人形劇がなりたったのでした。〈中略〉私は過去の未清算をきっちり整理してこそ未来がひらける、と考えているのです。」
(かげえ劇アクト座・高槻昔ばなし語りべ集団連絡先:TEL.072-682-0668)