第三回三好達治賞贈呈式が平成20年4月5日(土)、大阪市公館で行われた。この賞は大阪市で生まれ育った昭和を代表する詩人「三好達治」を顕彰し、併せて詩を通じて豊かな芸術文化の意識高揚を図るという趣旨で、故桃谷容子さんの遺志に基づき、平成17年に創設されたものである。大阪市長の挨拶、賞の贈呈の後、本年度の受賞者である田中清光氏による挨拶と、詩集『風景は絶頂をむかえ』のなかから3月の詩、「声」の朗読があった。
水は
あふれこぼれるのでなく
休むのでもなく
不可逆の軌道にそって 人びとの体内をも流れ
往くものに
絶対自由へ
跳べ とおしえる (一部抜粋)
その後、選考委員長である杉山平一氏より選考結果が報告された。
次に二人の違う作曲家による三好達治の詩「甃(いし)のうへ」二曲が、相愛高等学校音楽科の生徒によって歌われた。
あはれ花びらながれ
をみなごに花びらながれ
をみなごしめやかに語らひあゆみ
うららかの跫音(あしおと)空にながれ
をりふしに瞳(ひとみ)をあげて
翳(かげ)りなきみ寺の春をすぎゆくなり
み寺の甍(いらか)みどりにうるほひ
廂(ひさし)々に
風鐸(ふうたく)のすがたしづかなれば
ひとりなる
わが身の影をあゆまする甃のうへ
さらに新川和江さんによって三好達治の詩「パン」が朗読され、鈴木漠氏による田中清光氏の紹介が行われた。部屋を変えて懇親会が行われ、和やかな時を過した後、贈呈式はすべて終了した。
その後有志により、「ひまわり」という船で、夕食を頂きながら夜桜を見物することになった。造幣局の通り抜けに合わせてライトアップされるということだったが、それでも所々点された灯りに照らされて幻想的な桜の風景を楽しむことが出来た。