昔々に子供たちとよく遊びに行った遊園地、神戸ポートピアランドの跡地に新しく出来た、北欧の家具メーカーIKEAに、大きくなった子供とその友人と一緒に遊びに出かけた。三宮からだと神戸大橋を渡るとすぐに着いてしまうので、思ったよりもかなり近い。矢印の通りに大駐車場に無事に車を入れる。エレベーターで3階からいったん1階のメインエントランスまで降り、さらにエスカレーターで2階に上る。
お昼過ぎに待ち合わせたのに、三人とも昼食がまだだったので、全員一致で先にレストランに行くことに決定。長い列の一番後ろに並ぶ。センターでレストランとカフェの二つに分かれていて、まるで北欧の空港に紛れ込んだようだ。
まずトレイを取り、飲み物を冷たい方か温かい方かを決めて、空の紙コップを載せる。次のコーナーはデザートとオードブルが並べられている。なぜ初めにデザートがあるのか不思議だったが、後からこの位置ならレストラン側の中へ入らずに、カフェからでも取ることが出来るということがわかった。
それからメインディッシュのあるガラスケースの方へ移動する。後ろにもう一面ガラスの壁があり、広いオープンキッチンが見える。メインディッシュは自分で取るのではなく、二人のサーバーが注文に従ってお皿に入れて渡してくれる。これなら定量を最短の時間で手にすることが出来るというわけだ。
最後にレジで精算して、ナイフやフォーク、スプーン、紙ナプキンを自分で取ってから空いた席に座る。
ミートボール、シュリンプペンネ、サーモンポテトフディング、ピティパンナ、いずれも¥500前後の値段。ドリンクは飲み放題。オードブルとパン、デザートをつけると¥1000程度になる。
さていよいよ店内の散策開始。一周できるようになっているのだが、三人で色々見たり話したりしていると、元の場所に戻って来るまでに、いつの間にか2時間位経っていた。さらに1階の雑貨のところに行き、くたびれ果ててもう一度カフェに入ったので、3、4時間居たことになる。確かに驚くほど安い。シンプル、大量生産、セルフサービスに徹している故なのかもしれない。2階で見ていたのはすべてサンプルで、何カ所かに設置されたショッピングリストと小さな木の鉛筆を各自取って、商品の名と個数、番号、価格、列、棚を記入し、1階の雑貨売り場の隣の大容量倉庫からカートに載せるシステムになっている。展示場=店舗=倉庫なのである。
もちろん「たった一つ」の物を求める顧客には不向きだが、多くの人が同じものを共有していることが気にならないのなら、用に供するには充分である。むしろシンプルなものが美しいとも言える。そこにプラスする個々の趣味趣向に、千差万別の個性が出れば、物は同じでも住空間はたった一つのものに成り得るのである。