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    天川村

    • 2009.05.09 Saturday
    • 23:15
    JUGEMテーマ:旅行
     黒滝村の山間の道をどこまでも延々と走る。この村は94%が林野である「森の村」で、吉野材と呼ばれる林業で生計を立てているのだという。ちょうど「大峯奥駈」の連なる山々に平行して走ることになる。
     いつまで続くのかと思うほど森の中を走る。(これと同じ距離を山の中を歩いて修行するのか、と思うと気が遠くなる思いがする。)それでもいくつかの長いトンネルを潜ったことを思えば、昔ならもっと長いつづら折りの道が続いていたのだろう。2751メートルもの新川合トンネルを抜けてしばらく行くとようやく集落が見えてくる。
     「天川村総合案内所」の看板が出ていたので、いったん車を停め、案内マップを貰い、目的地までの道順を尋ねる。

     まず最初は「天河大辨財天(べんざいてん)社」へ。道路を走りながら案内所で教えて貰った「赤い鳥居」を探す。普通の鳥居を想像していたら、まるで鉄橋のような鉄の鳥居?だったのでびっくり。とりあえずその橋を渡って少し横に入ると、すぐその社はあった。
     別名天河神社ともいい、日本三大弁財天の筆頭・大峯本宮とされる。芸能の神様としても有名で、神殿の舞台では年に何回か、能も演じられている。ここでも役の行者が登場する。彼が弥山山頂で弁財天を勧請したことから、山頂には奥社があるという。空海もここで修業したといわれ、ゆかりの品も残っている。 

     次に向かったのは龍泉寺である。1300年昔に、役の行者によって八大龍王を祀るために草創された。現在は真言宗醍醐派に属し、本尊は弥勒菩薩。本堂とは別に八大龍王堂が建てられている。1960年まで大峯山上ヶ岳と同様にこの寺も女人禁制だった。境内には数々の龍にまつわる行場がある。
     
     右の写真は龍が現れたという龍穴。

     左の写真は大峯山上ヶ岳に入峯する前に修験者が集まって修行する水行場。龍の口から冷泉が出ている。この水行場は現在でも女人禁制なのだという。

                         





     右下の写真は龍王の瀧と不動尊。ここは男女共に修行が出来る。すぐ横にそれぞれのための脱衣場まで用意されている。
     大峯山上ヶ岳は現在でも女人禁制なので、女性の修験者はその隣の稲村ヶ岳に登るのだという。                                        
    この瀧のすぐ横の道を登って行くと、遊歩道があり、「かりがね橋」を渡って、展望台のある大原山に登ることが出来る。桜の花が盛りである。
    (左の写真の一番手前)

     本当はそこから西吉野に出て、村岡空さんのお墓参りに行きたかったのだが、思った以上に時間がかかってしまい、既に午後4時頃になっていた。あきらめてそのまま帰ることにする。
     西吉野に寄る道は想定していたが、変更して最も早く羽曳野に出る道を知るために車のNAVIを入れる。
     もう一度黒滝村には行ったのは判っているのだが、そこからどういうコースなのかわからないまま、指示に従って走る。かなり走った時、道の横に一つの神社があって、ふと見ると「丹生川上神社」という碑が立っている。大昔、家族と吉野に来た時もここにも寄ったことがあった。車を停めて境内に入る。天武天皇が白鳳4年(676)、祈雨、止雨のために創建した古社だという。
     心配しながらも、何とか夕暮までには高速道路に辿り着いた。山中ばかりでなかなか休憩が取れず、やっと入った「道の駅」はもうしまっていて、自販機で飲み物を調達するために入ったところ、そこは何と楠正成の生誕地だったというおまけまでついた。
     次の機会にはこの天川村の洞川(どろがわ)温泉に泊まって、大峯高野街道「すずかけの道」を歩いてみたいと思っている。(了) 

    吉野山 その3

    • 2009.05.06 Wednesday
    • 11:48
    JUGEMテーマ:旅行
     金峯山寺は修験道の根本道場であり、本堂の蔵王堂は国宝に指定されている。開祖役(えん)の行者が金峯山上で一千日の修行をしている時、末世にふさわしい守護仏を求めて祈願したところ、初めに釈迦如来が、次に千手観音が、最後に弥勒菩薩が現れたという。しかし、いずれも今の世の衆生済度には適さないと退けると、磐石の中から金剛蔵王権現が現れたという。
     釈迦は過去を、千手観音は現在を、弥勒は未来を体現しているが、蔵王権現がこの三世を同時に体現し、あるいはこの三世を超越していると言われている。現在は、この伝承そのままにそれぞれの本地仏の化身とされる三躰の蔵王権現が祀られているが、秘仏であるため見ることが出来ない。
     私が訪れた時も、薄暗い堂内の金襴の垂れ幕の奥に姿を隠されたままだった。その前では若い僧が一人、一心に祈祷を捧げていた。時折その垂れ幕が揺らぐのだが、なぜか自然の風のせいではなく、目に見えない何者かがその風を起こしているように思えた。
     吉野山が世界遺産に登録されたことを記念して、平成19年の秋に特別開帳されたとのことで、その時訪れることが出来なかったことが残念である。4年に1度、一般の人が参加できる「千人潅頂」が行われる予定で、その儀式の時には三躰の秘仏に対座することが出来るという。
      

     
     蔵王堂周辺をしばらく歩き、食事を済ませた後、吉野水分(みくまり)神社に向かう。
    もともとは水分の神からはじまり、「みくまり」から「みこもり」、さらに「みごもり」「こもり」という変遷を経て、現在では子授け、子守の神として信心されているのだという。
     江戸時代の国学者、本居宣長はその父がこの神社を参拝して授かった子であるということを固く信じていて、その著『菅笠日記』にもここを訪れた旅の様子を記している。

     もう一度蔵王堂の近くの大日寺の辺りまで戻り、吉野山を後にして黒滝村への林道を走る。ずっとカーブが続く山の中の道である。どこまでも緑が続き、ところどころで花にも出会える、すがすがしい道である。(続く)

    吉野山 その2

    • 2009.05.03 Sunday
    • 12:34
    JUGEMテーマ:旅行
     竹林院群芳園に戻ってから大和三庭園の一つと言われる庭を散策。
     八重桜はまだ見事に咲き誇っている。木陰にはシャガの花が咲き乱れ、ちょうど一山を巡るようになっている。
     修験道の寺院である竹林院は聖徳太子の建立であるという。与謝野鉄幹・晶子が常宿としていたので、歌碑もあり、手紙なども残されている。
     当初は「椿山寺」(ちんざんじ)と称されるほど、椿の花がたくさん咲いていたのだという。
     確かに色々な種類の椿が、桜も終わったというのにまだ咲き乱れていた。

     翌朝9時頃に宿を出て、まず如意輪寺へ。
     寺の隣に塔尾陵(とうのおのみささぎ)と呼ばれる後醍醐天皇の御陵がある。天皇陵は山の南面に造られるのが慣わしだが、この御陵だけは北向きに造られている。後醍醐天皇の遺言に従って、京都の方を向いているのだという。
     『太平記』には次のように記されている。
    「玉骨はたとひ南山の苔に埋るとも、魂魄(こんぱく)は常に北闕(ほくけつ)の天を望まんと思ふ」
     南朝の行宮(あんぐう)だったところが吉水神社である。
                                        
     頼朝に追われた源義経が、静御前や弁慶と共に、潜んでいたのもこの場所だった。室町時代に建築された書院は重要文化財に指定されていて、「義経潜居の間」や、「後醍醐天皇玉座の間」があり、それぞれのゆかりの品が残されている。
     義経の甲冑「色々威腹巻」(いろいろおどしはらまき)も公開されているが、その意外な小ささに驚いた。
     吉水神社はかつて吉水院(きつすいいん)といい、金峯山寺(きんぷせんじ)の塔頭(たつちゅう)の一つだったが、明治元年の明治政府による神仏分離令の公布、その4年後の修験道廃止令により、金峯山寺は廃寺となり、吉水院は神社に改められた。(続く)

    (写真は吉水神社から蔵王堂を望む。)

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