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    松風村雨堂と須磨海岸

    • 2011.09.30 Friday
    • 00:03
    JUGEMテーマ:地域/ローカル
    matsukazemurasamesekihi.jpg 歩いて行けないほどではないが、電車に乗ると2駅目と3駅目のちょうど間。車ではしょっちゅう前を通っていて判っているのに、一度もちゃんと見たことがない場所。松風村雨堂は今までそんな所だった。10月1日に能楽堂で「松風」を見ることになって、なぜかそれまでに絶対行っておかなければなどと思ってはみるものの、まだ暑さの真只中。とても歩く気になれなくて日ばかりが経っていった。偶々毎日のルーティンワークではなく、外出する用事が入ったので、帰りに足を延ばして訪れることにした。
     山陽電鉄の須磨寺駅で下り、北東の方角に歩いて行き、離宮公園から海に向かって下り坂になっている離宮道に出て少し南に下がると、住宅地の中にこの史跡が立っている。この石碑の側面には中納言行平の歌といわれる和歌が彫られている。
     
     立ちわかれ いなばの山の 峯におふる
                まつとし 聞かば 今かへりこむ

     すぐ近くに源氏物語の光源氏が都落ちした時に住んでいたといわれる源光寺もあるが、どちらも今は風情もなく訪れる人も稀である。
    matuskazeiori.jpg  石段を上がると正面には普通の建物が立っていて、一瞬間違えたのかと思うが、左側の奥の真ん中に、かつての庵の跡に松風・村雨の姉妹が建立したといわれる観音堂が立っている。matsukazekuyoutou.jpgまたその右側には二人の姉妹のための供養塔、台座の石に松風、村雨の名が並んで刻まれている。周りには沢山のお地蔵さんが置かれていて、もっと寂しい景色を想像していたのだが、ふと村の子供たちに囲まれていた彼女たちの姿が目に浮かんだりした。  左側には柵で囲まれた中に注連縄を巻かれた大きな松の古株があり、それが行平の手植えの「磯馴松」なのだという。写真も撮ったのだが、金網のせいであまりに風情がないので、ここには掲載しないことにした。傷んではいけないという配慮なのだろうが、もう少し何とかならないものだろうか。kinukakenomatsu.jpgそしてその前には3代目だという「衣掛松」が植えられていた。
     史跡というのはこういうものだろうか。昔の風情やその空気を味わおうと思って訪れると、大抵思っていたものとは違ってがっかりすることが多い。だからその場所が思っていた通りの時は本当に僥倖なのだと思うべきなのである。自分の思っていた所ではないと感じる時には、その時こそ自分の想像力を働かせる必要がある。そして何よりも史跡は私たちにその地理的状況を確認させてくれる。今はこのように住宅地の只中で、しかも高層のマンションにも囲まれているが、往時はどうだったのだろうか。今は街路樹として遺されているのは明らかに松林だった時の名残である。南を眺めると遥かに海が光って見える。おそらくその当時はこの辺りが海岸であったに違いない。さらに松風・村雨が多井畑の村長の娘とする伝説もあるというが、もしそうだとすると今の離宮公園の北側の山を一つ越えて来たということになる。
    sumakaigannmatsu.jpg 松風村雨堂を後にして、そのまままっすぐ南に下がると須磨海岸に出る。今はもう周辺には色々建物が立ち、昔の面影は全くないが、海岸の松林には今もまさに「衣掛松」の形をした松の木が残っていた。
     海岸もシーズンを終えたせいが、あるいは台風の影響のせいか、あちこちで工事をしていた。
    ああ、夏が終わったのだなと何故か不思議な感慨を覚えた。
    sumakaigann.jpg 海の上に広がる雲ももう既に夏の雲ではない。そして子供の頃に見た海、長じて子供たちと花火を楽しんだ浜辺、それらもすべて再び帰って来ない。けれど空と海だけはいまも変わらず眼前に広がっている。
     この海の水を心のなかに湛えたまま、能楽堂の「松風」を拝見しようと思いながら須磨海岸を後にした。
                     
                        

    墨痕―託された想い

    • 2011.09.28 Wednesday
    • 23:20
    JUGEMテーマ:地域/ローカル
    bokukonn.jpg 華道家片桐功敦さんからご案内を頂きました。「墨痕―託された想い」と題された正木美術館の2011年秋季展。奈良時代の経にはじまり、平安三蹟の書、鎌倉時代の水墨画と墨蹟、江戸時代の墨の世界、版画家の棟方志功の書などが展示されます。(詳細 下記)
     特別企画として初日の10月1日(土)午後1時から献花「拈華微笑―ねんげみしょう」が行われます。(書 中川幸夫 / 花 片桐功敦)
     また11月17日(木)〜23日(水・祝)まで片桐さんの「舟の後先」と題されたいけばな展示も行われます。さらに11月20日(日)午後5時からは正木美術館副館長の高橋範子さんと片桐さんとの対話「大自然のなかの僕ら」という特別トークも楽しみです。

    正木美術館 2011年秋季展 墨痕―託された想い
     前期:10月1日(土)〜10月30日(日)
     後期:11月3日(木・祝)〜11月27日(日)
     開館時間:10:00〜16:30(入館は16:00まで)
     休館日:水曜日(但し11月23日は開館/24日は閉館)
     料金:一般700円、大高生500円、中小生300円

    お問い合わせ先:正木美術館
     大阪府泉北郡忠岡町忠岡中2-9-26
      Tel.0725-21-6000     FAX.0725-31-1773
      e-mail:masaki-museum@msi.biglobe.ne.jp
      URL:http://masaki-art-museum.jp

    交通:南海本線難波駅より泉大津駅(約20分)で各駅停車に乗換
        (約1分)忠岡駅下車
        関西空港駅より春木駅(約20分)で乗換(約1分)忠岡駅下車
        忠岡駅より徒歩約15分
        泉大津駅または春木駅よりタクシーで約5分
     
     

    時のはざまに

    • 2011.09.22 Thursday
    • 02:16
    JUGEMテーマ:
    時のはざまに
                          ichoukata.jpg

    ひとつのネーブルオレンジ

    が 不意に転がってゆく 

    灯の明度の軌跡を描いて        

    闇へと―


    闇のなかで 同じ明るさを放つ

    ひとつの窓


    室内にはぎっしりと本で埋まった

    書架が置かれていた

    異国の言葉と 時で編まれた

    知の集積


    そのなかから手渡された

    分厚いジャコメッティの画集


    描かれ 消され

    ありとあらゆる方向に引かれた線


     「眼に見えるものは すべて奇跡」

     「見えるものを 見えるままに」


    数え切れない線の

    痕跡のなかにある

    一瞬と 永遠


    光と 闇と

    一度きりのいのちの

    希有の出会いが

    生み出したもの


    翌朝 武蔵野の雑木林を歩く

    関東ローム層の黒土と

    落葉の匂いがたちこめる


    雨上がりの大地に立っている

    一本の大銀杏

    黄葉は降りしきり

    シトリンの滴は地表に溢れる


    大地は闇を抱えたまま

    時のはざまに

    佇ちつくす樹を支えている

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